ほっともっとのロースかつ丼（２０２４）

　火曜日はレビューの日。

　食べたいものがなくなった……。

　焼肉、すき焼き、寿司にパスタ。若いころには食に対する夢があった。おかずへの希望があった。今では、メニューの決め打ちすら出来なくなった……うどん食ってりゃそれでいい。食欲あれど、何を望んでいいのか分からない。幸せのテンプレートの上は何処へやら。これは、きっと歳のせい？　きっと、そうだと思い込んでいた。だがしかし、その考えは違っていた。決め打てない理由があったのだ───食べ過ぎだった。

　のんちゃんのブログ王を書いていたころ。極力、空腹を保つよう心がけた。だって、そうでしょ？　満腹になると頭が回らなくなるからだ。当時は、仕事と小説とでいっぱいいっぱい。ヤバいと感じたら栄養補給……そんな毎日の連続だった。眠くなるくらいなら、何も食べないほうがいい。

　ブログ生活に戻っても、やっぱり毎日がいっぱいいっぱい。時間に追われる連続だ……残弾数８分の２。そこで僕は考えた。そうだ、ストックをため込もう。１日２記事を目標で書いてみよう。そこから始めてみよう。イチから……いや、ゼロから。それだけ頭を回すには、やっぱり空腹である必要があった。食事は記事を書いてから。それまで何も食べなくて、今日もサヨリは元気です（笑）

　この方法は僕に合っているようで、２月に入ると１週間分のストックが溜まった。この記事だって１０日も前に書いた記事である。だがしかし、人間とは弱い生き物で、そうなってしまえば気も抜ける。すると突然、かつ丼が食べたくなった。その欲は、神のお告げのようでもあった。頭の中でカツ丼が、利伸のメリーゴーランドのように、回れ回れとクルクル回る。

　もうこれは、ほっともっとしかありませんな……。

　近くに美味いかつ丼の店がないからだ。久しぶりのほっともっとでロースかつ丼を注文する。価格は５２０円。僕の記憶では豚汁を加えてそれくらいだったのになぁ……。急激な価格の高騰。浦島太郎の気分になった。最近、亀でも助けたか？　恵方巻きがレジの前でずらりと並んでいる。

　そっか、そっか、今日は節分だったかな？───だが、断る！

　あまり知られていないけれど、かつ丼は弁当を受け取ってからが勝負である。そう、時間との真向勝負。もたもたしてたら、溶き玉子が固まってしまう。一度も成功したことないけれど、僕はバイクを走らせた。

　いつもそう、いつだってそう……今回も溶き玉子は固まっていた。

　固まった玉子を見るたび思う。ほっともっとで食えればいいのに。とはいえ、かつ丼は胃袋からのリクエスト。本能のままに、ありがたく頂戴しましょう。いただきます。

　ゆるゆるな溶き玉子。その上で横たわるカリっとした衣のとんかつ。その食感には及ばない。けれど、ほっともっとの甘辛い味付けが好きだ。空腹という名のスパイスと、久方ぶりの揚げ物とが相まって、口の中はユートピア。知ってるはずのかつ丼の味。それは、安定のいつもと同じ味なのに、どうしてこんなに旨いのか？

　腸が食べ物を吸収している。そんな表現はある。けれど今、とんかつが僕の口内で吸収されている感じがする。その次は喉で、食道で、胃袋で……。これなら、一生だって食ってられる。こいつは、ウルトラ・アメージング・エレガントじゃ（笑）　もう１個、買いに行こうかと悩むほどだ。口の中で、豚さんがスキップしながら喉を抜け胃袋へ飛び込んだ。三匹のかつ丼、いっちゃおか？　今なら食える気がした……食わんけど。

　今日は、このレビューで店じまい。食レポだけは、食べた直後に書かないと。感動と言う名の感想を書けないからだ。そして、もうすぐ眠たくなるのに決まってる。なのに神様は意地悪だ。食べた後、２つ目の胃袋にスイッチが入る。こいつが毎回、厄介なんだなぁ……牛かよ？

　あ～、マック食べたい。