子供の頃、亀は道で拾うものだった

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道
雑記・覚書き

───あ、亀が落ちてる。

僕が幼少期を過ごした場所はど田舎で、雨上がりの道では、たまに亀が落ちていた。小さな亀は珍しくて、目の前に現れた亀は自分の運動靴くらいのサイズが多かった。

───ツルは千年、カメは万年。

躊躇なく亀を抱えて家に持ち帰る。そして、亀専用のツボの中に放り込んだ。ツボと言ってもどデカいツボだ。小学生の自分のお風呂に出来そうなサイズだった。

山で拾ったのか、海で拾ったのか、隣の家から持ってきたのか、そもそも納屋にあったのか。それは忘れてしまったのだけれど、庭の隅っこのツボに水を入れて、せっせと亀を拾ってはツボの中に入れていた。

亀も人に慣れる

小学校でも先生が亀を飼っていた。学校が飼っていて、先生が亀の係だったのかも知れない。ある日、切り分けた魚肉ソーセージを亀に与えていた。先生が亀の近くに行くと、水の中から亀が姿を現した。先生がソーセージを近づけると、先生の手からソーセージを咥えて亀は水中に消えてゆく。亀は人に慣れるのだ。

昭和の学校は自由だった。別の先生は水槽でメダカを飼っていた。メダカが卵を産むと、別の水槽に移して孵化させていた。大きな水槽には大人のメダカ、小さな水槽には赤ちゃんメダカ。メダカは増え続けた。半年ほどして全滅するまでの話だ。

メダカが全滅しても亀は毎日、先生の手からソーセージを受け取り食べていた。名もなき亀は、先生が別の小学校へ転任まで学校の片隅で生活を続けた。その後の行くへは分からない。きっと、近くの池に離されたのだろう。

───カメは万年。

雨上がりの帰り道。

数ヶ月置きに数匹の亀がツボの中に増えてゆく。亀を拾うのは6月頃が多かっただろうか。7月過ぎ、8月に入ると台風がやって来る。台風が来るとツボの中の亀が消える。ツボの水かさが増して外へ逃げ出してしまうのだ。

それに気づかず、同じことを3年くらい続けただろうか。僕の亀拾いは小学校4年の台風まで続き、それ以降、亀を拾って帰る事は無くなった。

翌年、真っ白なウサギが僕の腕の中にいた。

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