お爺ちゃんの攻略法

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雑記・覚書き
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 最近の仕事。僕のバディはお爺ちゃんである。しばらく桃畑は無理だろう。それが中々の強者で、僕の話を全く聞かない。東京オリンピック、大阪万博、高松大空襲……誰の目からも昭和思考で動いている。大らかな昭和思考では後が困る。今は大らかとは程遠い。とは言え、期間限定だと腹を括る。

 ところが、先日、事情が変わった。一ヶ月ほどでお役御免の筈なのに、この十月まで延期というのだ。あれは地獄です、生き地獄です。仕方ない。コミュニケーションを取ろうかね。移動中のミニバンの中。あの手この手で意識改革。否、意識革命させないと僕の心が持たなくて、今日もサヨリは元気です。

 なのに人間レベルが70を越えると思うように事が運ばない。マイペース。質問ばかりを繰り返す。そこに仕事の話はどこにも無い。よく分からない問いばかりを投げ掛けられる。なにゆえ、このお方が僕のバディなのか?。その理由が何となく分かった───辛い。

 今日の株式、楽天三木谷の今後、孫正義は何してる、自動運転のしくみ、物価高は何故起きたのか、どうしてスマホにはギガ縛りがあるのか、ナビはどうして教えてくれるのか。

───そもそもナビとは何なのか?。

 僕らはスマホのグーグルナビを使って移動している。爺ちゃん、それを最近覚えたらしい。

「高松市○○町、1234番地。お願いします!」

 意気揚々と、らくらくフォンにお願いしている。そこに僕の出番は無い。スマホに向かって話しかける。それがメッチャ嬉しそうなのだ。行き先に不安はあれど、細やかな楽しみを奪ってはいけない。先週から、ナビはお爺ちゃんの任務となった。その度に我思う。人に頼むときの大事な七文字、『お・ね・が・い・し・ま・す』それいる?。それが不思議でならなかった。

 ナビが始まるとお役御免。羅針盤を失った船のターゲットは僕になる。そして始まる質問攻め。一応、ハンドル握って人様の命を預かっている身である。運転に集中させて欲しいのだけれど、お構いなしで様々な質問を浴びせかける。声が……でかい。

───風が吹けば桶屋が儲かるって何でや?。

 いやいや、いやいやいやいや……。それはアナタの土俵でしょ?。落語の枕とかで話しているアレでしょ?。何故、僕に聞く?。今、それ必要ですか?。とも言えない。僕はヘラヘラと返事をする。

「風が吹くでしょ?、風が吹くと埃が立つでしょ?、埃で目が傷ついたら盲人になる人もいるでしょ?、盲人になると三味線で生計を立てる人も出るでしょ?、三味線が売れたら猫の皮が必要になるでしょ?、猫が減ったらネズミが増えるでしょ?、ネズミは木を囓るでしょ?。さて、問題。桶は何で出来ていますか?」

「はい、木です!」

「良い返事ですね。桶屋が儲かる(笑)」

「何で知ってるんや?」

 そこからか?、そこから説明しないとダメなのか?。その説明いる?。現場到着まで30分以上もある。辛い。だったら、僕の土俵で話をしよか。催眠術でも掛けたろか。

「風桶の話の前に、バタフライエフェクトの話をしないとデス(笑)」

 バタフライ効果の話を始めると、ものの5分でイビキが聞こえた。

───攻略成功(笑)。 

コメント

  1. そっかー
    機関銃トークには、難しいはなしをすれば秒で寝るのか。
    ふむふむ( ´∀`)

    • うん、すぐ寝た(笑笑)

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