これはひつとつの実験である。否、言葉遊びやセリフ回しの練習だ。僕には誰にも言えない悩みがあった。この実験は、僕のストレスへの〝はけ口〟と言い換えた方がよいかもしれない。
僕の悩みは小さいかもしれない。他人の目から見れば些細な気の迷いなのかもしれない。僕の悩みは文体である。己の文体への猛烈なコンプレックスに他ならない。
この人らしいよね───これが、僕の文章には無い。
例えば、漱石のような、太宰のような、西尾維新のような、加藤はいね女史のような……そんな独自の文体を僕は持たない。さしずめ僕の文体は、コピー忍者カカシ先生の写輪眼のようなものである。カカシ先生は〝雷切〟もしくは〝千鳥〟と呼ばれるオリジナル忍術を編み出したけれど、僕はというと、そんなオリジナリティ溢れる文体を有していない。何処かで聴いた、何処かで見た、何処かで読んだ……そんな言葉のもんじゃ焼き。
これが僕のコンプレックスの素である。味の素は美味しいけれど、コンプレックスの素は苦くて苦しい。有名大学で文学を学んだとか、読書量なら誰にも負けないとか、書くことが大好きですよとか。そんな基盤すら僕にはない。つまり、空っぽでスカスカ。根底にそれがあるものだから、胸を張って「小説を書いています」とは言い出しにくいのが現実だ。
だから、永遠のなんちゃって。まねごとの文体は書ける。けれど偽物はパチモンで本物には及ばない。何でも書けるように見えていても、それは、何も書けないのと同じである。その本質は嘘と同じで、書けば書くほどバカがバレる。自分で墓穴を掘るのと同じだ。どうしてだろうね？……その墓穴を、毎日、毎日、掘ってるけれど（汗）
先日。今は二月十二日だから、この記事の公開日よりも二週間ほど前の話。話の流れで相棒にそれを告げた。全力で僕を応援してくれる彼に対して、申し訳ない気持ちがあったからだ。
───自信を持ってその時に自分が書きたいことを書いてください。それが、ベストな書き方になります。
これが相棒からの答えだった。
えっ？ それでいいの？
そこで僕は、漠然とイメージしていた実験を開始しようと考えた。小説を書く最大の武器はキャラクターである。僕はモブでも主役を張れるよう、邂逅でも、のんちゃんのブログ王でも、ショート・ショートでさえも、表に出さない裏設定を考えている。〝呪いのフォルダ〟に、邂逅の斎藤さんを起用したのも、裏設定と本作との間にリンクを張れる要素があったからだ。てか、金持ちで、秀才で、いけ好かないのに憎めない。僕はそんな斎藤さんのキャラを立てたいと願ってる。邂逅の斎藤さんは、ブログ王でのオッツーくらい思い入れあるキャラなのだ。キャラクター全員と言えば全員だけれど（汗）
僕が持ち得るキャラクターの中で、今、最も旬なのが〝ゲンちゃん〟である。そう、うどん屋ゲンちゃん。うどん屋は僕の十八番で、うどん屋業務の内容も理解している。だから、舞台はセルフうどん店。ひとり目の客はベジータ王子。みんな大好きドラゴンボールでお馴染みの。
本当は、SPY×FAMILYの誰かでと考えていたのだけれど……だって、そうでしょ？ それこそ、今が旬なのだから。「いつも、コンビニでお姿をお見掛けしています（汗）」なのだから。でも、僕のインプットが間に合わなかった。アーニャで書いたら、文字の全てが平仮名になってしまった……つまり、書いてる僕がわくわくしない（汗）
そこから想像力を働かせて、セルフに並ぶベジータ王子を文字に起こす。すると、面白そうな感じに思えた。即興で書けば感じで……
〝これはどういうことだ、カカロットぉ！ お前が飯でもどうかと言うから来てやったのに、このベジータ様を並ばせるとは。いったい、どういう了見なんだ！ なんだと！ こ、この店は、俺様にトレイまで持たせようと言うのか？ なんだ、この店は？ セルフだなんて聞いてないぞ！ 地球のうどんが美味いとブルマが言うから来てやっただけだ。それよりも、さっきから行列が動かないじゃないか！ カカロット、お前はどうしてニコニコしていられるんだ。俺には、動けないサイヤ人など必要ない！！！〟
みたいな。
話はうどんを食べるまで続くけれど、後から全部書き直しするつもりなので、さわりだけをコピペした。ゲンちゃんはうちの可愛いキャラだし、これなら、色んなゲストを召喚できる。つーことで、スピンオフ〝００４ はじめてのセルフうどん〟に、こっそり細工を施した。面白ければ続けてもいいし、そうじゃなければ書かなきゃいい。今のところ、行き場のないネタである。だから、来週の木曜日。試験的に投稿しようと考えてる。てか、自動投稿の準備まで整えているけれど……。その次は、リングの貞……。
まぁ、やってみないとわからない。やらずに出来るわけがない。為せば成るは、やったヤツだけが言えるセリフなのだから。
さぁ、言葉遊びの実験をしよう。
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