───レジに並だけなのに、なぜだかおばちゃんと話をしています。
いつもそう、いつだってそう。別のスーパーでもそうだった。惣菜を見ていただけなのに、「お兄ちゃん、牛乳を飲もう!、この牛乳、美味しいから。惣菜ばかりじゃ病気になるよ」って、ミッツ・マングローブメイクのおばちゃんに詰め寄られた。
(でもほら、僕ら初めて出会ったばっかだし・・・それ・・・300円だし・・・)
そんなの言えない。よく見ると半額シールが貼ってある。まっ、良っか。言われるがまま牛乳をレジカゴへ入れた。
───誰だってそんな経験あると思う。
昨日はスーパーへ刺身の価格調査に立ち寄った。市場調査は猫を飼う者の嗜みであり、それ以上でもそれ以下でもない。今日は、びんちょうまぐろがお手頃価格。これ幸いとレジカゴに入れて、今日もサヨリは元気です。
平日のお昼だというのに賑やかで、多くの人がレジに並んだ。何故だろう?、どうしてだろう?。そんな事を考えながら、長い順番の列を待つ。誰もがレジカゴ一杯のお買い物。僕は長丁場の覚悟を決めた。
・・・・。
ボーッと順番を待っていると、ひとりのおばちゃんが僕の前で立ち止まり、「いっぱいやな」そう言い残して通過した。
レジは5台稼働していて、空いている列を探しているようである。しばらくすると、おばちゃんが僕の前に戻ってきた。
「今日はお客が多いなぁ」
と誰かに話し掛けた。しかし、だれからも返事が無い。
「今日はお客が多いなぁ、兄さん」
周りを見渡しても兄さんらしき人物が見当たらない。声の方に目をやると、ばっちり視線が合ってしまった。
───捕まった。
(でもほら、僕ら初めて出会ったばっかだし・・・)
やっぱりそんなの言えない。
愛想笑いでその場をしのぐと、長蛇の列の謎解き返し。今日はポイント還元祭りでお客が多いと教えてくれた。「男の人には分からないわよねぇ」の言葉を添えて。
謎が解けて嬉しいのだけれど、ざっくり見積もってもレジまで5分。さてどうしたものかと考え始める。レジまでの暇つぶしに相手は話す気満々である。
知らない人に話し掛けられる人間には特徴があるのだという。一言でいうのなら「地味で大人しそうな人」である。そして僕も背丈も低く目立たないタイプ。白羽の矢が突き刺さって抜けやしない。
背中に5本くらい食い込んでる。
レジ前で買い物と来れば、このご時世、次の話題は物価高に決まってる。そうなるだろうと予測しているうちそうなった。アレが高い、これが高い、スーパーに無いガソリン・灯油の話題にまで飛び火した。
───炎上しかねない雰囲気である。
僕も相方に専念しているものだから、会話がどんどん漫才化。それは周りの失笑からも肌で感じる。そして着地点は政界へと突き進む。讃岐の瑠麗ちゃんが止まらない。
今まさに、レジまで生テレビをやっています。ブログにゃ書けないピーピートークも終盤戦。競馬ならゴール前に差し掛かる。そろそろ仕上げの時間でござる。
「オレがオレがって、利権とかばっかやってるからねぇ~」
「そうよ、そうよ、オレオレ言うてええのはマツケンサンバだけやから!」
その瞬間、隣の列のサラリーマンが顔を背けて肩が揺れた。
───何か、ごめんね。
ちなみにミッツ姉さんに言われて購入したのは、特選よつば牛乳である。高級なだけに美味でした。
コメント
話しかけられ易い体質?。それは、なんて奇特で、一期一会だらけの人生なのでしょう!。。話しかける側からしたら、地味で大人しそう以外にも、優しそう、怒らなそう、良い人そう、なんかいい感じそう、知らないからこその、多分そう。でも、そのそうは、実際に本当にそうだろうと、ブログを拝読していると思います。お顔も声も知らないけど、ある意味、ブログは人なり‥な所がありますからね(笑)。
話しかけない性格なのに話しかけられやすい体質。それは絶好の記事ネタにもなるのだけれど、グイグイ話しかける性格にもちょっぴり憧れています(汗)。サヨリさんとセットの時は、もうね、ご想像のとおりです(笑)。