アスパラガスに実がついて、仮面ライダーガッチャマン？

　ナニコレ、虫？

　普段、僕はアスパラガスを見ることがない。だってそうでしょう？　今の季節じゃ収穫出来ないからである。ニョキっと一本だけじゃ面白みに欠ける。だから二年目も根っこにエネルギーを蓄えさせて収穫のお楽しみは来年に。おかげでアスパラはデカくなった。今では「モリゾーかっ？」ってくらいの出で立ちに、今日もサヨリは元気です（笑）　嫌でも来年への期待は高まる。でも、こんなに大きくなるのは予定外。来年は、ナスの場所に何を植えようか悩んでいる。

　そんなアスパラの偽葉に赤い物体を発見した。それが、一瞬、赤い虫に見えた。何かの毒虫だったら嫌だよな。今のうちに捕殺しよう。増えても困る。恐る恐る近づいて、偽葉をめくって真紅のシャアザクを確認すると、思ったのとなんか違う。コレ、動く気配が全くない。取りあえずスマホで撮影してからGoogleレンズで調べてみると、知っている、それ、嘘でしょ？　この赤い球体はアスパラガスの実であった。

　アスパラガスにも実ってあんのな…

　去年の記憶にまるでない。そんな赤玉を眺めながら他にはないかと辺りを見回す───ないんだなぁ。目に写るのは一個だけ。Googleレンズが弾き出した画像には、偽葉にたくさんの実がついていた。うちのアスパラだって、そのうちそうなるのだろう。

　そんな僕へ電話が入る。友人からの電話であった。

「やぁ、元気？」

「まぁ、元気」

「新しい仮面ライダーの話、聞いた？」

「お前若いな、そんなの知らね」

　僕のライダーは昭和で止まっている。頑張ってもブラックで限界。だから、令和ライダーを知ってる方がどうかしている。そもそも僕らって、ほら、還暦近いし。同じ赤でも、マフラーちゃうし。ちゃんちゃんこの方だから。

「知らんのか？　仮面ライダーガッチャマンやで」

　なにそれ新鮮！

「主人公の母親役はナンノらしいぞ」

　なんだって、ガッチャマンと南野陽子て昭和じゃん。スマホの声にちょっと耳を傾ける気になった。アレクサぁー、電話続行！

「おまんらの？」

「そう」

「鉄仮面の？」

「そう」

「スケバンの？」

「そう」

「時計じかけの？」

「それはちゃう」

　ライダーとガッチャマンとスケバン刑事とのクロスオーバーに心が揺れた。その当時の頃に心を飛ばせれば、はいからと言えば通るもの、ネットと言えば吐息であった。コレが分かるアナタ、そりゃもう、お友達です。高校時代の想い出と懐かしさとが相まって、メールで別の知人へそのまま伝えた。

───仮面ライダーガッチャマンって知ってるか？ ナンノが出るらしいで。

　と。メールの相手はライダーマニア。去年だっけ、11PMの如く、シャバダバ、シャバダバと喧しい変身ベルトを見せてくれた奴である。だから、新作ライダーを知らぬはずもないのだけれど、とりあえず話題のネタを振ってみたのだ。ジジイなると、否、ジジイが故に、横繋がりは大切である。孤独とはボケを加速させるものだから。そんな奴から返信が戻る。

───あれ、ガッチャードやでwww

　令和の新ライダーは、科学忍者隊ではなく錬金術師であった。メールを飛ばしたのひとりでよかった…何事であれデマはよくない（汗）