桃太郎のイヌの愚痴
鬼ヶ島の帰り道。 金銀財宝を積んだ荷車を引きながら、イヌは浮かない顔をしていた。 「どうした? イヌ?」 後からリアカーを押していたサルが、心配そうにイヌの顔を覗き込んだ。 「気に入らない……」 ぽつりとつぶやくイヌに、サルは優しく話しかける。 「オレらさ、何かの縁で鬼退治に行った仲じゃん。それはもう、戦友じゃん? 少なくともオレはそう思ってるよ」 サルの優しい言葉がイヌの心を開いた。イヌは溜まりに溜まった本音を吐き始めた。 「だって、おかしいだろ? モモタロさん。待遇が違うんだよ、待遇がっ!」 サルにはイヌの言葉が理解できなかった。 「ごめんな。オレ、お前の言ってる意味が分からない...