ショート・ショート

土曜日(ショート・ショート)

白い月

───もう、一年が経つのね……。  明るくて、賢くて、気遣いがあって、可愛らしい子……。  ぽっかりと空いたベッドに、あの子の姿を思い出す。看護師の私にとって、生と死は日常の出来事だけれど、ふとした瞬間に思い出す。あの子の笑顔と、あの子との会話を。あの子は娘の友達だった。看護の業務に私情は禁物。それは十分理解している。でも、あの子と接するたびに、娘とあの子が重なって見えた……。 ───お月様。  あの子には好きな人がいた。彼をお月様と呼んでいた。こんなに美人さんなのだから、彼氏候補なんて、あの人だけは無いでしょう? もっと身近な男を選びなさい。近くで、あなたに寄り添ってくれる人を選びなさい。残...
土曜日(ショート・ショート)

呪いのフォルダ(肆)

───cursed-folder-case4(1975-05-15 07-04)  1975年5月15日。  今、わたしは彼が残した日記を読んでいます。この日記にわたしの文字を付け加えながら。ねぇ、あなた。こうして読むと、交換日記みたいよね。ねぇ、あなた。どうしてわたしを置いて行ってしまったの? お願いだから帰ってきて。もうすぐ、わたしたちの結婚式なのよ。  わたしの健太郎さん……。  1975年5月20日。  健太郎さんは死んだ。  5月1日、事故で死んだ。わたしが病院に駆けつけたときには遅過ぎた……即死だった。  健太郎さん。披露宴会場とか、ケーキとか、ドレスとか……。今日ね、すべてのキャ...
土曜日(ショート・ショート)

呪いのフォルダ(参)

───cursed-folder-case3(1975-04-16 05-15)  1975年4月16日。  私と彩夏さやかの挙式を7月7日に決めた。  年に一度の七夕であり、彼女の誕生日でもあったからだ。知人が経営するホテルで、彩夏と結婚式の打ち合わせを終え、その足で田所たどころ博士の家に向かった。あのマシンを目の当たりにして、彩夏はどんな顔をするのだろう。それがとても楽しみだった。だがしかし、私の予想に反して彩夏の顔は不安げだった。 「お願いだから、この機械の電源だけは入れないで」  彩夏は私に懇願した。彩夏の推測では、この扉は異次元への入り口だと言う。高次元なのか、別世界なのか、それとも...
土曜日(ショート・ショート)

呪いのフォルダ(弐)

こんばんは、斎藤です。  では、先週の続きから……僕がファイルを発見した経緯からお話しよう。  僕は、僕の大切な人のために嫌いなヤツと手を組んだ。そして、僕の知り得る輪廻転生についての情報を彼らに流した。さも、偉そうに……。詳細と経緯は〝邂逅〟で記されたとおりである。  思春期の若者ならば、誰だって都市伝説の類たぐいが好きだ。動画サイトのPV数を調査すれば、それは紛れもない事実である。今も昔も毎日のように、人類滅亡の考察と予言もどきの動画が公開され続けている。無意味な情報に踊らされる人々の姿は滑稽だ。  ネットでどれだけ調べても、手に入る情報には限りがある。新発見をしたような気になっても、どこ...
土曜日(ショート・ショート)

呪いのフォルダ(壱)

アナタの身近でこんな話を耳にしたことはあるだろうか? ───忽然と人が消える……。  元気に生活していたあの人が、前途洋々だった若者が、追い詰められた老人が───失踪、失跡、蒸発、そして神隠し……。その呼び方は様々である。けれど、人が消える事象と捉えれば同じだと言えるだろう。  そして、皆さんは〝呪いのフォルダ〟をご存じだろうか? ほら、そこの女学生が話題にしている都市伝説。そこは、僕の世界とはまた別のパラレルワールドである。ブログ王世界の女子トークに耳を傾けてみようではないか。 「ねぇ、アケミちゃん。呪いのフォルダの話……知ってる?」 「知っている、知ってる。メールとかSNSに貼り付けられた...
土曜日(ショート・ショート)

この世界線の分岐点

俺は同じ夢を見る。  決まって見知らぬ公園を女性と散歩をしている夢である。そして、赤いベンチに座ってランチを食べる。ランチはいつも、彼女が作ったおにぎりだった。食事を済ませて彼女の家まで送り届けたところで夢から覚める。公園から見える大きな風車が印象的だ。散歩の途中だったり、ランチの途中だったりと、夢から覚めるタイミングはまちまちだ。  中学になるまでは、色付きの鮮明な夢だった。高校を卒業する頃になると、その夢を見ることも少なくなった。見ても断片的な夢であった。その夢には色もない。  社会人になって、夢の記憶を思い出す。  あの公園はどこなのか? あの女性は誰なのか? あの家は実在するのか?……...
土曜日(ショート・ショート)

産神チフユ

人里離れた展望台。  そこは少年のお気に入りの場所である。少年はそこで本を読むのが好きであった。とある春の日。桜の木元のベンチ。そこに腰を下ろして古文書に目を通す。その鋭い眼光は、何かの糸口でも探すかのようであった。満開の桜の花と穏やかな春の日差し。頬をかすめるそよ風が、静かに少年を包み込んでゆく……。  何かの気配に少年は気づき、顔を上げると少女の姿があった。それは、愛しくも懐かしい……夢にまで見た少女であった。少年は理解していた。これは、ありもしない現実であると。そして思う……きっと、あのお方に違いないと。 「あなたは、チフユさんですね?」  静かに少年は少女に問いかけた。それは、幻に話し...
金曜日(小説の話)

シン・ウルトラマンの作戦室が素晴らし過ぎて

金曜日は小説の話。  ブログでもそうなのだけれど、僕にとって執筆環境は重要である。ブログに要する執筆時間は、長くても2時間以内に完結させる。それをこえるとタイムアウトで、今日もサヨリは元気です(笑)  毎日が、時間との追いかけっこの始まりです。  陸上競技に例えるのなら、ブログはスプリンターで、小説はマラソンランナー。机の位置、椅子の高さ、雑音とサヨリさん……。気になり始めたら問題は目白押し。気にしなければ問題解消。でも、神経が過敏になると、ちょっとしたことでも気になるもの。  11月と12月。小説の追い込み時期にもなると、山小屋でも借りてしまいたい。そんな気分にもなっていた。ペンションや別荘...
小説始めました

ライダー変身ベルトは涙のベルト

───隕石が地球にぶつかる、運命の日まで1ヶ月。  インターネットが死んだ日。  それは、忌まわしい世界放送から一週間後の出来事だった。その頃、俺たち三人は彼女が住む街に向かって歩いていた。国道をすれ違う人々の顔に生気はない。 「どいつも、こいつも、ゾンビみたいな顔してやがるwww」  ちゃかしたように、オッツーがコソコソ俺に話しかける。オッツーは、最後まで旅への参加を拒否した男だ。それが出発当日の朝。突然、旅への参加を表明し、今日も俺たちと歩いている。  どういう風の吹き回しだろうか? 俺は、ずっと気になっていた。  腰にはトレードマークのライダーベルト。ライダーオタクのオッツーは、最後の日...
小説始めました

ペンギンさんとペリカンさん

ペンギンさんは、俺のブログの常連であった。記事を書けば、必ずコメントを入れてくれる人であった。楽しくてとても優しい人であった。 ───ペリカンさん、こんばんは(笑)  ペンギンさんからのコメントは、この一行からいつもはじまる。そんなペンギンさんからのコメントがプツリと途絶えた。ブログ書いていればそんな事もある。きっと、俺のブログに飽きたのだろうな。  それから1ヶ月が過ぎた頃、見知らぬ人からメールが届いた。ペンギンさんの訃報であった。ペンギンさん。それ以外、何も知らない相手であった。なのに、突き上がる嗚咽が抑えきれずに俺は泣いた。ワケもわからず泣き崩れた。 ───姉にとって、はじめから叶わぬ恋...
小説始めました

ブログ主はただのおっさん

わたしには推しのブロガーがいる。ひいき目に言っても、ブログ主はただのおっさん。若いわたしが推すなんて、そんなの夢にも思わなかった。  検索で見つけたのは四年前。パパに買ってもらったガラケーで、はじめて読んだブログだった。でもね、ほんとはスマホが欲しかったの。リンゴの会社のスマートフォン。でもね、パパがわたしにこう言うの。 「スマホは魂が汚れるからダメ!」  知ってる、それ、嘘でしょ?。  だったらクラスのみんな、心が汚れてるとでも言いたいの? そんなの言い訳。可愛い娘が心配なんでしょ? だからガラケーだって持たせたくなかったんでしょ? その証拠に、パパからメールが届くもの。一日に何度もよ。過保...
小説始めました

ショート・ショートにローカル・ルールを追加します

そうね、そうね、マズいわね(汗)  記事の中にショート・ショートを盛り込みはじめて、気づいているのに手を打ってない事があった───他でもない、タイトルである。  これまで、ショート・ショート(超短編小説)のタイトルの前に『ショート・ショート』の文字を添えた。ブログとは、言葉で実感を伝える装置。つまり、記事の主な題材は体験である。世の中には小説が主体のブログもある。だけれど、猫ブログからスタートした〝キジとら〟には、小説の初期設定がまるでない。  現実のはずなのに何かが違う...。  小説という新たなカテゴリ追加に、長年の常連さんの混乱は避けられなかった。タイトルに〝ショート・ショート〟を付け加...
小説始めました

ショート・ショート『よつぼしの苗』

愛猫の猫砂を買いにホムセンに立ち寄ると、山のように陳列された使い捨てカイロが目に飛び込んだ。  何これ冬じゃん? 冬ソナじゃん!  え? もうそんな季節? だってそうでしょう? 今日だってほら、熱中症アラート出ているし……。控えめに言っても夏である。  大自然へ背を向け続けた人類である。たった一握りの人間が行い続けた暴挙の数々。理由は簡単、私利私欲。地球がお怒りになるのも当然だ。畑をはじめてから一年と半分。僕は最近、それを強く感じるようになっていた。  そこは、上流国民の皆さんの意識改革に掛かっております。原始時代、江戸時代までとは言わない。せめて二十年前の生活に戻さないと、たいへんな事になり...
小説始めました

ショート・ショート『アフィリ記事の書き方』

皆さま、ごきげんよう(笑)  わたくし、サヨリの父でございます。SNSでは希にママと間違われることもございます。けれど、漢たるシンボルも、細やかながら標準装備しております(汗)  猫のお世話というのは、それなりに大変でございます。あさの朝食、よるの夕食。昼食さえも視野に入れる日もございます。気温も落ち着いた食欲の秋...これからが大変です。  わたしにとって、朝の十五分とは文字通り修羅場でございます。愛猫を撫で、抱き上げ、食事を取らせ、ミルクを飲ませ、己の身支度を済ませるのです。  休んでいる暇などございません。疲れている暇などございません。そして、この顔には逆らえません……。  幸せというの...
自家菜園

ショート・ショート『電子メール』

そのメアドは思ったとおり、現在、使われていないメアドであった。だとすれば、考えられるのは〝なりすまし〟である。
小説始めました

ショート・ショート『青きスーパームーンの夜に』

歳の頃なら四、五歳だろうか? こんな夜中に小さな子を放ってもおけない。でも、子どもの相手など僕は知らない。この世に産まれて十と七年。人生最大の危機が訪れて、今日もサヨリは元気です。このブレーズはブログ主の事情の方か(汗)
小説始めました

ショート・ショート『ループ』

急に話が飛んでしまう。これも日常茶飯事で、今日もサヨリは元気です(笑)
小説始めました

ショート・ショート『上手なスイカの割り方』

夏と言えば怖い話。ホラーと言えば、オブ・ザ・デットに決まってる。みんな大好き貞子タン♡ そんな、ジャパニーズ・ホラーだって嫌いじゃない。けれど、リアルの追求ならゾンビ一択じゃ。ゾンビ人気も下火じゃないし、今日もサヨリは元気だし(笑)
小説始めました

ショート・ショート『ひこうき雲』

小説家なら、小説を書くのなら、本来、伏せるべきなのだろう。けれどブロガーは、それさえ普通に記事にする生き物。そして、この物語は僕にしか描けない自負もある。もう、八月に入った。それなりに勉強もした。気合いも入れた。今日もサヨリは元気です。だから、本丸の断片を偶にこんな感じで書こうとおもう。
小説始めました

ショート・ショート『雉虎細魚はやかましい!』

こいつは、こうなってしまうと止まらない。メッセージどおりにやったのに、それでこんなに攻められるだなんて、今日もサヨリちゃんは元気かな? こんなの、お釈迦様でも腑に落ちないよ。それにしても、全く手を緩める気配がない。そんなに深刻な事態なのか?